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安藤梢、7年半の経験を古巣浦和に。
ドイツと日本の「良い選手」の違い。
posted2017/06/07 07:00
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph by
Tetsuro Kutsuwada
自身の夢をかなえた7年半に渡るドイツでのサッカー生活を終え、安藤梢は日本でのプレーを選択した。キャリアをスタートさせた「さいたまレイナスFC」、現・浦和レッズレディースに6月から再加入。ドイツ移籍前にリーグ優勝、MVP、得点王の3冠を2度達成した思い入れの強いクラブに戻ってきた。
「ヨーロッパに行ってサッカー文化を学んで、ドイツで挑戦したい。CLで優勝したいという目標を立てました。7年半、本当にたくさんの経験をすることができて、夢だったCLも優勝できました。今度は、その経験を日本でプレーして、どれだけできるかチャレンジしたいと考えるようになりました」
安藤は、浦和への入団会見でこう話した。欧州最高峰のクラブを決めるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)には、女子の大会もある。安藤はフランクフルト時代の2014-'15シーズンにそのトロフィーを手にした。また、なでしこジャパンの中心メンバーとして2011年の女子ワールドカップ優勝も経験している。クラブと代表で、世界中の女子選手が目標にする2つのビッグタイトルを手にしてきた。
対戦相手に打ち勝つ要素を大切にするドイツ。
ドイツでの生活について、最も大切であり重要なものは「結果」で、「誰も自分のことを知らない中で認めてもらうには、結果しかなかった」とも言う。「サッカー文化」を考える上で「良いサッカー」というフレーズが頻繁に聞かれる日本サッカーにとって、安藤の言葉には耳を傾けるべきものがあった。
「日本で言う良い選手と、ドイツで言う良い選手は違いました」
日本の「良い選手」は、ボールを扱う技術が重視される傾向にある。味方にショートパスを丁寧につなぎ、あるいは良い位置でサポートし、パスワークの中心的な存在になる。柔らかさや賢さといった部分と、味方にとっても有益な選手といった要素が重視される。一方で、ドイツでは“より対戦相手に打ち勝つ要素”が重視されているのだという。