セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
主力が軒並み不在で、調子も全然。
イタリアとはいえ、U-20は勝てる!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/05/27 07:00
開幕当初のイタリアは底だったが、日本にとっては3戦目に対戦があるのは不運かもしれない。彼らの状態はどこまで戻っているだろうか。
所属クラブの残留争いを優先した選手も。
代表の核となるべき彼の招集に、所属クラブのエンポリはOKを出したが「クラブがセリエA残留を決めた後でなら」という条件をつけた。
育成年代にあたる今大会の日程拘束力は弱く、「残留争いや昇格プレーオフの戦力として必要」といった正当な競技的理由があれば招集を強制することはできない。
エンポリは、28日のセリエA最終節まで残留争いの瀬戸際にある。ディマルコの合流は、どうやっても3戦目の日本戦にすら間に合わない。
エバーニが先発候補に、とやはり期待していたMFマッジョーレ(スペツィア/セリエB)は、所属クラブが22日から始まったセリエA昇格プレーオフに進んだことに加えて、「学業を優先したい」と招集を辞退した。
理系高校にも籍を置くマッジョーレは今季、学業と代表を含むプロ活動を両立させる困難に直面。仮にU-20W杯へ参加した場合、6月下旬にある、年に一度の大学入学資格試験への準備ができない、と泣く泣くエバーニへ断りの電話を入れた。
欧州選手権で準優勝したチームとはまるで別物。
率直に言えば、昨年7月にU-19欧州選手権で準優勝したイタリアと、今大会に出場しているイタリアはまったくの別物だ。
欧州の世代別王座をかけてフランスとの決勝戦に臨んだスタメン11人のうち、21日のウルグアイ戦にも先発したのは、MFバレッラ(カリアリ)とDFコッポラーロ(ラティーナ/セリエB)、そしてFWファビッリ(アスコリ/セリエB)の3人のみ。
ちなみに、彼らが決勝で戦ったフランス代表には、今季のCLで6得点と大暴れしたFWムバッペ(ASモナコ)がいた。
有力選手が揃わず、極東で行われる10代の大会とあってイタリア国内の注目度は限りなく低い。国民の関心は、ユベントスによる前人未到のスクデット6連覇と6月3日のCL決勝戦に向いている。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』をはじめとする現地スポーツ紙は、グループリーグの組合せから「決勝トーナメント進出は義務」と記すものの、彼らですら“アズリーニ”の行く末には大した期待をかけていない。
ただでさえ国際経験の少ない若者たちが、国民からの応援やメディアによる支えもなく、慣れない環境でモチベーションを高めていくことは難しい。