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ヴィクトリアマイルはルージュに◎。
元世代No.1馬と気鋭調教師のコンビ。
posted2017/05/13 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
戸崎圭太、内田博幸、横山典弘が2勝ずつ。連対数は、内田と武豊が3回、戸崎、横山、蛯名正義が2回ずつ。
今年第12回を迎えるヴィクトリアマイル(5月14日、東京芝1600m、4歳以上牝馬GI)は、毎年同じような顔ぶれの騎手が上位を占める傾向にある。
3着の馬券圏内までひろげると、上記のほか、岩田康誠が3回、柴田善臣と北村宏司、引退した藤田伸二が2回ずつ顔を出している。
ただでさえ牝馬は繊細で気難しいのに、この季節はフケ(発情)などもあって、余計に扱いに苦労する。そうした馬をなだめ、いい気分にさせて走らせる技術のある騎手に良績が集中するのは頷ける。
騎乗を依頼する側もそれをわかっているからか、今年も、前述した現役騎手のうち、横山と柴田を除く6人が出場する。
なかでも注目したいのは、2014年から昨年まで3年連続リーディングを獲得している戸崎だ。過去2年、このレースをストレイトガールで連覇しており、今年はルージュバック(5歳、父マンハッタンカフェ、美浦・大竹正博厩舎)で、同一GI3連覇を狙う。
世代ナンバーワンのはずが、いまだGIでは勝てず。
「クラシックのころからGI候補と言われていたのに、まだGIを勝てていないことに責任を感じる」と戸崎。2歳時の新馬戦と500万特別を勝った時点で「世代ナンバーワン」の声が上がり、3歳初戦のきさらぎ賞で牡馬勢をあっさり切って捨てた。リプレイを見れば見るほどに、フロックでこの走りができるわけがない、と確信させられる、強烈というより強靱な末脚だった。
そのまま無敗の桜花賞となると思われたのだが、スローペースに持ち味を封印され9着に惨敗。オークスも2着に終わり、無冠のまま今に至っている。
昨年のヴィクトリアマイルではクリストフ・ルメールが騎乗したが、大竹調教師が「ようやくエンジンがかかったところがゴールだった」と話していたように、マイルは距離不足との見方もある。
また、牝馬同士だとGIIIでもとりこぼすのに、昨年、エプソムカップと毎日王冠を連勝したように、牡馬相手のレースのほうが強い競馬をしている。かつての名牝ウオッカも似たようなところがあり、厳しい流れのほうが力を出せるタイプなのかもしれない。