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<Derby 2017>
皐月賞 アルアイン――史上空前の混戦。 

text by

石田敏徳

石田敏徳Toshinori Ishida

PROFILE

photograph byKiichi Matsumoto

posted2017/05/12 07:00

<Derby 2017>皐月賞 アルアイン――史上空前の混戦。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto
69年ぶり牝馬優勝の快挙はならず……。「最も速い馬が勝つ」伝統のレースをレコードで制した新星の実力は。

 最終の単勝オッズが2.4倍。牡馬クラシックの第一関門にして、ダービーに向けた最重要の前哨戦とも位置づけられる皐月賞で断然の1番人気に支持されたのは、1月のデビュー以降、圧勝と楽勝を繰り返しながら、3つの白星(3戦3勝)を重ねてきた紅一点のディープインパクト産駒ファンディーナだった。

 牝馬による皐月賞制覇が実現すれば1948年のヒデヒカリ以来、実に69年ぶりの快挙。さらにいえば年明け(3歳)デビュー馬による皐月賞制覇も、2002年のノーリーズン以来となる。春のクラシックを狙う期待馬、素質馬を使い出す時期が全体的に早くなっている近年、デビューが遅れ、「トーナメントのようなローテーション」を余儀なくされた馬が4月の皐月賞を制するのは、牡馬でさえ至難の業なのだ。それでもファンディーナが2番人気(スワーヴリチャード、7.0倍)以下を引き離す支持を集めたのは、アピールしてきた器の大きさへの期待感、牡馬勢は一様に“一長一短”の印象を拭えなかったこと、そして「歴史的瞬間を見てみたい」というファンの願いの表れでもあっただろう。

 大きな期待とともに手綱を託された岩田康誠騎手は、正攻法のレース運びをした。道中はまずまず、スムーズに折り合って好位を追走。「揉まれた経験がないことも踏まえて」外へ持ち出し、前の馬たちを呑み込みにかかった直線入口では、“歴史の扉が開く”と感じられた瞬間もあった。しかしそこからファンディーナは伸び切れずに失速。大いなる挑戦は7着という結果に終わる。

 レース後、報道陣に囲まれた高野友和調教師は潔く完敗を認めた。

「ジョッキーとも話しましたが、不利を受けたわけでもなく、レースはスムーズに運べたと思います。勝った馬はウチの馬とほぼ同じ位置にいて、勝負どころでは少し後退するような場面もありました。そこから差し切られたのですから、今日に関しては力負けですね」

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アルアイン
松山弘平

競馬の前後のコラム

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