“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J1即スタメン、原輝綺18歳の苦悩。
強すぎる使命感をU-20で忘れろ!
posted2017/05/10 11:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
5月7日、新潟に激震が走った。クラブからチームを指揮する三浦文丈監督の突然の休養が発表され、当座は片渕浩一郎コーチが監督代行を務め、その間に後任を探すということになったのだ。
新潟はリーグ10試合を終えて1勝2分け7敗の降格圏内の17位に沈み、ルヴァンカップ3試合を含めると、1勝3分け9敗という危機的状況にある。J1残留に向けて一刻の猶予も許されない中での決断となった。
大きく揺れるクラブにおいて、1人のルーキーもまた大きな試練に直面していた。
「もう自分をルーキー(若手)だとか思っていませんから」
若手選手を取材するとき「まだ1年目だからね」、「まだ20歳だからね」などという話を振ると、多くの選手がこのニュアンスの言葉を返して来る。
この表現には「自分はルーキーだという甘えた気持ちは持っていない。1年目から出るつもりでプロに入った」といったプライドと、自分に戒めるための“常套句”だと思う。
だが、たまにこの言葉が“重責”となってしまう人間もいる。
それが今の原輝綺だ――。
リーグ全試合に先発出場、決勝点も挙げたが。
U-20W杯を戦う世代別日本代表のメンバーであり、今年、市立船橋からアルビレックス新潟に入団したルーキーである彼もまた、冒頭の言葉を良く口にする。
J1で唯一となるルーキーでの開幕スタメンを飾ると、リーグ戦10試合すべてで先発出場し、うち9試合はフル出場。第7節の甲府戦では決勝弾を叩き込んで、チームに今季初勝利をもたらした。チームの戦績は抜きにしても、ルーキーとしては十分すぎる結果を彼は出している。
しかし、彼の心境は周りの評価とは全く異なるものだった。