プロ野球PRESSBACK NUMBER
なぜ中日はこんなに弱くなったのか。
日本ハムの苦境とは全く意味が違う。
posted2017/05/02 11:00
text by
伊藤哲也Tetsuya Ito
photograph by
Kyodo News
原点回帰――。
至ってシンプルな四字熟語が、森繁和監督が舵を取る新体制発足の今季のチームスローガンだった。
プロ野球の各球団は例年、練りに練ったスローガンを掲げ、その文言を使ったグッズを次々と展開。ソフトバンクの「1(ワン)ダホー!」を筆頭にキャッチーなタイトルが主流だが、中日に限ればそんなエンターテインメント性はほとんど感じられない。
裏返せばチームが危機的状況を迎え、低迷期を脱却しなければ……という意味合いが垣間見える。
副題にあるのは「ゼロからのスタート」だ。
補強がうまく機能していた2000年代。
スローガンを発表した昨年、森監督は「ここ4年はBクラス。今季は最悪なこと(最下位)になりましたので、チームだけでなく球団もファンもゼロに戻って出直して、ファンあっての野球づくり、原点に戻って野球ができる楽しさを喜び合っていきたい」と話した。
ただ、根本のチーム作りに関していえば、ゼロに戻るということはありえない。
毎年、数の増減はあるものの10人程度の金の卵たちをドラフトで獲得。その選手が戦力となるべく手塩にかけて育成していく。チームが存続する以上は、そのサイクルが決して止まることはない。その蓄積の成果が一軍の成績に直結するといっても大袈裟でないだろう。
これをカバーする編成はトレード、FA、外国人選手の補強策となる。
中日の歴史を振り返ると2000年以降、FAで獲得したのは'00年の川崎憲次郎、'01年の谷繁元信、'07年の和田一浩、'13年の小笠原道大のわずか4人。
川崎憲次郎はケガに泣かされてほとんど登板機会が無く、小笠原は巨人を戦力外という意味合いが強かったので、実質レギュラーとして貢献したのは谷繁と和田のわずか2人だと言える。
守備の要と主軸を任せられるスラッガーの2人。
この時は補強が効果的に機能したのだ。