沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
前から行って、差し馬の末脚を使う。
キタサン&武豊が春天衝撃レコード。
posted2017/05/01 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
王者・キタサンブラック対グランプリホース・サトノダイヤモンド。現役最強馬を決める一騎討ちになると思われた第155回天皇賞・春(4月30日、京都芝外回り3200m、4歳以上GI)は、終わってみれば、キタサンブラックの強さばかりが目立つ一戦だった。
「逃げ宣言」をしていたヤマカツライデンが長距離戦とは思えないハイペースで馬群を引っ張り、正面スタンド前へ。実況が「最初の1000m通過は58秒3」と告げると、場内から拍手が沸き起こった。
武豊のキタサンブラックは、ヤマカツから7、8馬身離れた2番手につけた。キタサン自身のペースも決して遅くはなかったのだが、それでも、やや前に行きたがっていた。調教で周回コースを長めに走る長距離仕様の仕上げをしてきたとはいえ、2000mだった前走から距離が一気に1200mも延びたのだから、折り合いが難しくなるのもやむを得ないところか。
「タフなレースでした。この馬でなければ耐えられないペースだった。道中少し前の馬を追いかけてしまいましたが、あまり遅い流れにはしたくないと思っていました」と武は振り返る。
追いすがる馬に体を併せることすら許さない勝利。
そのままペースは緩むことなく流れ、キタサンブラックも前との差を一定に保ったまま、厳しいラップを刻みつづけた。
そして、楽な手応えで4コーナーを回りながら先頭に立ち、後続に2、3馬身の差をつけて直線に入った。
サトノダイヤモンドは、すぐ前の内目を走るシュヴァルグランとともに進出し、キタサンを追いかけた。
しかし、内埒沿いを進むキタサンブラックの勢いは衰えず、追いすがる馬たちに馬体を併せることすらさせない。2着に1と1/4差をつけて、史上4頭目の天皇賞・春連覇を達成した。