沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
前から行って、差し馬の末脚を使う。
キタサン&武豊が春天衝撃レコード。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2017/05/01 11:20
前目のポジションで競馬ができる、というキタサンブラックの特性は凱旋門賞でもストロングポイントになるはずだ。
賞金額でも歴代1位が視野に入ってきた。
現役最強の称号を手にしたキタサンブラックにとって、これが一昨年の菊花賞、昨年の春天、ジャパンカップ、今年の大阪杯につづく5つめのGIタイトルとなった。
次走は当初のプランどおり宝塚記念になるだろう。そこも勝てば、今年から設定された2億円の報奨金をゲットできる。それを加えると通算獲得賞金が17億円近くになり、ディープインパクトを超え、歴代1位のテイエムオペラオーの18億円強に迫る2位となる。数字のうえでも名馬、いや、歴史的名馬になろうとしているわけだ。
武が、ディープで'06年の春天を勝ったあと口にした「今、世界にこれ以上強い馬がいるのかな、と思います」という言葉が思い出される。
日本人は同じことばかり言うと笑われそうだが、やはり、悲願となっている凱旋門賞で世界の頂点を狙ってほしい。
北島三郎オーナーは「かわいい息子を知らないところにやるのはつらいと思っていたけど、たくさんの人の思いがあるし、夏まで馬の状態を見て、いい状態ならフランスに行ってもいいのかなと思います」と揺れる心境を語っている。
夢がますますひろがる、王者の圧勝劇であった。