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非常に厄介な「肉離れ」というケガ。
大谷翔平は本当に6週間で復帰できる?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/04/28 07:00
4月1日の西武戦での大谷。全力疾走禁止、ベースを右足で踏むことの禁止など、より一層の注意がされたのだが……。
足首の故障の手術そのものは簡単だが……。
もともと大谷が抱えていた故障は、右足首の三角骨の骨棘による炎症だった。ささくれのような棘が周囲に当たって炎症を起こし、痛みを誘発する。
しかしこの三角骨の骨棘自体はそれほど深刻なものではない。アメリカのプロフットボール選手の中には、痛みを抱えながら同じような状態でプレーをしている選手もいるので、プレーできないことはない。
ただ完治させるためには手術でその棘を除去して患部をクリーニングする必要があるのだ。
手術そのものは簡単で3カ月程度で復帰できる。トミー・ジョン手術のように、術後1年以上のリハビリ期間が必要な訳でもない。
守るための“監督指令”が逆に肉離れに繋がった!?
大谷の場合は昨年の日本シリーズで痛みが出たが、その後に日本代表の強化試合やワーールド・ベースボール・クラシック(WBC)の本大会などが控えていたことで、オフに手術に踏み切れなかった。
すると1月末に痛みが再発し侍ジャパンのメンバーから外れ、日本ハムでも足首に負担の大きい投手での開幕を断念した。一方、打者として出場を続けるために、全力疾走の禁止と痛めている右足でベースを踏むことを禁じる“監督指令”が出されていた。
ただ、再発防止のための“監督指令”が、逆に今回の肉離れを誘発した可能性は否定できない。特に右足でベースを踏まないようにするために、不自然な動きになり、それが反対側の左足に負担をかけ肉離れに繋がったと指摘する声は多い。
だとすると復帰後に大谷に課される2つ目のミッションは、むしろ全力プレーに徹すること、古傷の右足首をかばった動きはしないということなのだ。
テレビ東京のインタビューでは聞き手の評論家・緒方耕一さんから「最初はDH(指名打者)での復帰となるか」と質問されると、栗山監督はこれを否定した。
「いや、両方(投手と野手)いっぺんにいきます。どちらかといえば投げる方が早いかもしれない。肩は出来上がっている」
こう二刀流での完全復帰の可能性を匂わせたのである。
実はこれは1つの判断としてありだ。