スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
ジダンも逆らえないペレス会長の力。
「ベイルを使え」はレアル鉄の掟。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2017/04/27 11:00
ギャレス・ベイルが優れた選手であるのは間違いない。しかし、特別扱いはレアルにとってプラスにならないと思うのだが……。
ベイルがケガの間だけは自由に選手が選べるが……。
その後チームを引き継いだジダンは、ファンの人気が高いイスコやハメスをベンチに座らせ、チームのためにハードワークできるルーカス・バスケスやカゼミーロを積極起用する納得の選手起用で周囲の信頼を勝ち取っていった。
そんなジダンの下でもBBCだけはアンタッチャブルな存在であり続けたのだが、今季は幸か不幸かベイルが相次ぐケガに悩まされてきたため、これまであまり目立つことがなかった。
そんな中、クラシコでの先発起用は今もレアル・マドリーが歪なヒエラルキーに支配されていることを改めて証明することになったわけだ。
今回の負傷により、ベイルは3週間の離脱を強いられることになった。その間には貯金がなくなったリーガの残る6試合のうち4試合、そしてアトレティコ・マドリーとのチャンピオンズリーグ準決勝2試合が含まれる。
少なくともその間、ジダンは余計なプレッシャーを受けることなく先発メンバーを選ぶことができる。
だがタイトル決定戦となる可能性が高いマラガとのリーガ最終節、そしてチャンピオンズリーグ決勝に勝ち進んだ場合は、再びケガ明けのベイルを巡って会長と世論の板挟みに苦しむことになるのだろう。