イチ流に触れてBACK NUMBER
映画以上に劇的なシアトルでのHR。
イチローは2023年に帰ってくる!?
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2017/04/25 11:40
4月19日。歓喜に包まれるセーフコフィールドで、ゆっくり塁を回るイチロー。
イチロー自身は「これで最後」とは思っておらず。
実はこの試合。遠いマイアミから弓子夫人も観戦に駆けつけていた。
勝手な憶測で考えれば、イチロー夫妻さえも“最後のシアトル”になる可能性を感じ取っていたのではないか、ということになる。その可能性についてイチローに問うと彼はこう言った。
「“今回は最後の打席”という思いで最後に打席に立ちましたけど、これが、ひょっとして“ここで最後”という考え方はまったくなかったです」
本音ととるか、建て前ととるか。それは人それぞれでいい。筆者自身はこの言葉に嘘はないと感じている。
それよりも何故本塁打を狙いにいったのか。それが知りたかった。
「ボブルヘッド(首振り人形)のことはもちろん知っていたし、ただ、全部期待以上のもので表現してくれるから。本当に打てて良かった。これだけ盛り上げてくれて、寂しい感じで帰りたくないから。『それ』をしたかったという思いは、とても強かった」
『それ』とは、マリナーズとシアトルのファンへの恩返し。古巣が示した敬意にイチローは応えた。