イチ流に触れてBACK NUMBER
映画以上に劇的なシアトルでのHR。
イチローは2023年に帰ってくる!?
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2017/04/25 11:40
4月19日。歓喜に包まれるセーフコフィールドで、ゆっくり塁を回るイチロー。
まるで映画のラストシーンのような感動が。
試合後。表情を崩して喜ぶイチローの姿はなかった。だが、充実感は漂っていた。
「印象に残るわね、これは……。まぁ、(マリナーズの)ファンも喜んでいい点差だし、一番そういう意味では理想的な場面ではあったね」
言葉から滲み出る“狙って打った一発”。
「まぁ、イメージはあるじゃないですか。ただ、それが実現するかどうかは別として。まぁ、そうなったら、そりゃいいよなぁ。でも、なかなか難しいよな、ということでしょう」
かくして、ノンフィクションの世界は劇場映画の感動のラストシーンとなった。
地元テレビ局さえ「シアトルでの現役最後の打席」!?
多くが勝手に“シアトル最後の打席”と思い込んでいた中での今回のフィナーレ。一般論で考えれば、それも仕方のないことだった。
交流戦の現行規定では、次回マーリンズのシアトル遠征は2023年シーズン。イチローが50歳を迎える年である。
50歳までの現役続行をイチローが希望することは、今では野球ファンならずとも知るところ。それでも、それを信ずる者はほとんどいない。マーリンズのお抱えテレビ局の実況アナウンサーでさえも「これがシアトルでの現役最後の打席になるかもしれません」と実況した。
周囲の感情移入が完結した中での本塁打。
マリナーズ最後の'12年シーズンをともに戦った5年連続20本塁打の正三塁手シーガーは「本来なら相手選手の本塁打は見たくないもの。だが、今回は特別だ。身震いがした。ゲームを超えている。言葉にならない」と、感動を表した。