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異例すぎるモナコ欠場インディ参戦。
アロンソの挑戦はホンダあってこそ。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2017/04/23 07:00
4月12日、バーレーンGP前に会見したアロンソ。決勝では力走するもパワー不足は明らかで、残り2周で自らマシンを止めた。
4週間で大西洋を5回も渡る強行スケジュール。
ただし、その夢を叶えるための道のりは平坦ではない。なぜなら、アロンソはインディカーを走らせたこともなければ、オーバルトラックを走ったこともない。
そのため、4月16日のバーレーンGPを終えたアロンソは、インディカー・シリーズ第3戦を視察するとともに、チームメンバーとのミーティングを行うために渡米。レース後にはシート合わせをする予定だ。4月30日のロシアGP後には再びインディアナポリスへ赴き、数日間シミュレーターを試すという。
インディ500前の最後のF1レース、スペインGPは5月14日だが、本番までにアロンソは4週間で大西洋を5回も渡り、総フライト時間は約50時間に及ぶ。
「飛行機の中でも過去数年のレースのビデオを見て、少しでも多くのことを学びたい」と休日返上で臨む。
デーモン・ヒルもアロンソの挑戦にエールを送る。
歴史上ただひとりの3冠ドライバー、グラハム・ヒルの息子で、自らも'96年のF1王者であるデーモン・ヒルはこう言う。
「私はレーシングドライバーとして父親が成し遂げた偉業がいかに素晴らしいものかを理解している。だから、フェルナンドのチャレンジを応援したい。私は仕事でモナコへ行くが、ヨーロッパとアメリカには時差があるから、インディ500はモナコGPが終わってからスタートする。絶対にテレビで見るよ」
1966年にインディ500を制したグラハム・ヒルのスタートポジションは15番手。果たしてアロンソは何番手からスタートし、どんなレースを披露するのだろうか。多くのF1関係者にとって、今年の5月28日は長い一日となりそうだ。