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異例すぎるモナコ欠場インディ参戦。
アロンソの挑戦はホンダあってこそ。
posted2017/04/23 07:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
AFLO
「マクラーレンとホンダ、そしてアンドレッティ・オートスポーツとともにインディ500に出場できることを楽しみにしている」
これは5月28日にアメリカ・インディアナポリスで決勝レースが開催されるインディ500への参戦を表明したフェルナンド・アロンソの第一声だ。
1911年に始まったインディ500は、フランスのル・マン24時間(1923年開始)、そしてF1のモナコGP(1929年開始)と並び、レースという枠を超えた伝統と格式を備えた世界3大ビッグレースイベント。その中でも、インディ500は観客動員数が決勝日だけで30万人を超えると言われ、レーシングドライバーにとって、憧れの舞台となっている。
マクラーレンにも、インディカーにもエンジン供給。
だが、自動車メーカーや大手企業がチームを運営している現在のF1の契約では、ドライバーが他のカテゴリーのレースに参戦することは事実上不可能とされてきた。
今回、マクラーレン・ホンダの現役ドライバーであるアロンソが参戦できたのは、ホンダがF1だけでなく、インディ500を含むアメリカのインディカー・シリーズにもエンジンを供給していたことが大きく貢献していた。アロンソはホンダがエンジンを供給しているアンドレッティ・オートスポーツのマシンに乗り込み、かつてインディ500で勝利した経験があるマクラーレンのカラーリングで走ることになっている。
F1ドライバーのインディ500挑戦には、もうひとつ障害があった。同じ5月28日にF1のレースが予定されていることだ。しかも、それは同じ世界3大ビッグレースイベントのひとつであるモナコGPである。
そこでアロンソとマクラーレンは、モナコGP欠場という決断を下したのだ。
だが、モナコGPを欠場してまでインディ500を選択したアロンソの決断に、F1界が少しばかり冷めた対応をとるのは当然のことだった。