ニッポン野球音頭BACK NUMBER
打者を“ビビらせる”豪快フォーム。
DeNAドラ8進藤拓也に威圧感あり。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byKyodo News
posted2017/04/12 07:00
長身を生かしたフォームから伸びてくる右腕。進藤の変則投法は初見のバッターにとって厄介なことこの上ない。
プロ初登板は、いきなり満塁の大ピンチで……。
「脚の上げ方とかは、上から投げていた時と変えていません。もとから腰を横回転で使うサイドスローっぽい投げ方だったので、難なくっていう感じでした。それでプロに入れたので、結果としてはよかった」
下位指名ながらオープン戦でアピールに成功し開幕一軍入りをつかんだ進藤は、すでに4試合に登板(4月9日終了時点)。負担の膨らむベイスターズのブルペン陣に厚みをもたらす存在となっている。
ただ、デビューの舞台ははっきり言ってタフだった。
3月31日、スワローズと戦った今季開幕戦の7回裏、1アウト満塁という大ピンチでのプロ初登板。進藤は初球のストレートを痛打されて2者の生還を許すと、さらに犠牲フライを打たれ、結局3人のランナーすべてに本塁を踏ませてしまった。
冷たい雨が落ちる神宮球場での苦い記憶だ。
だが、苦味は強いほど学びを促す。
「1アウト満塁で、バッターはキャッチャーの中村(悠平)さん。新人は初球にまっすぐをストライクゾーンに投げてくるだろう、そういう配球を読んだバッティングだったのかなと思います。あそこで自分が変化球のボール球から入れていたら、また違ってたと思う。経験不足ですね」
木塚コーチは「飛び跳ねるような躍動感」を評価。
一方で、1点ビハインドの試合終盤という勝負どころで起用された事実は、進藤に対する期待値の高さの現れとも言える。ブルペン担当の木塚敦志投手コーチは、ルーキーの魅力をこう表現した。
「やっぱり、あの飛び跳ねるような躍動感でしょうね。腕が振れるということと、スピードボール。初登板の時だって膝がガタガタ震えてたはずだけど、(ドラフトの指名順位が)何位であっても、プロ野球に入ってマウンドに立ちたいという思いで入団したんでしょうから、そういうものは全力でマウンドで発揮してもらいたいし、後押しもしたい。
経験値というかキャリアをどんどん積んでいけば、必ずやお客さんに喜んでもらえるようなピッチャーになれるはず。チームの流れをスパッと変えてくれるような投球もできるはずだから、期待してますよ」