セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
欧州サッカーにも“甲子園”がある。
久保建英のライバルは名選手の息子?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/03/25 11:00
1994年のデルピエロは20歳。すでにユベントスでロベルト・バッジョから出場機会を奪いつつあった。
日本からグランパスユースが参戦したことも。
「トルネオ~」は戦後のイタリアサッカー界復興を理念に創立された大会だが、国外クラブへの門戸がつねに開かれてきた点は興味深い。
大会史を紐解けば、'70年代の名守護神マイヤーを端緒に、DFラームやMFシュバインシュタイガー(現シカゴ)といったバイエルン組の名が容易に見つかるし、若き日のFWバティストゥータやFWカバーニ(現パリSG)のように、南米から大西洋を越えて参加した選手も数えきれない。'11年大会には、日本から名古屋グランパスのユースも出場している。
駆け出しの指導者にとっても、大会は格好の力試しの場だ。
昨年の大会を制したのは、ユベントス・プリマヴェーラ(=ユース)率いる気鋭の若手監督グロッソだった。
彼とともにドイツW杯を制したフィリッポ・インザーギ(現3部ヴェネツィア監督)も、ミラン・ユース時代に参戦した'14年大会で優勝している。
御大サッキや名将リッピ、智将プランデッリといった歴代のイタリア代表監督たちにとっても、ヴィアレッジョは、若かりし頃の彼らに研鑽を促した貴重な修行の場だった。
明日の檜舞台を夢見る選手と指導者が鎬を削る登竜門は、今年も熱戦が続いている。
ロートル天国と呼ばれたイタリアを変えるために。
イタリアが「ロートル天国」、「若手軽視の国」と揶揄されるようになって久しい。
'14年のブラジルW杯で2大会連続グループリーグ敗退を喫した伝統国は、いよいよ危機感を募らせた。
大会後、イタリアサッカー連盟は「ドイツに優勝をもたらした要因の1つは、先進的かつ継続的な育成年代の組織活動である」と分析。長期的視野に立った代表の実力向上を念頭に、強化体制の抜本的見直しへ着手した。
具体的には、イタリア全土20州すべてに合計200カ所にのぼる連盟直轄の地方トレセンを創設し、指導者層も増強させながら、膨大な数に上る12歳以下の才能を丁寧にすくい上げる取り組みがスタートしている。