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ベンゲルが、こんなに嫌われてる!?
辞任すべき理由を全部並べてみた。
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byFranck Faugere
posted2017/03/16 21:00
契約延長がなかなか決まらない中、今季残りを戦い続けるベンゲル。ここからの巻き返しなるか?
理由その3:もはや、恐れるに足るチームではないから。
彼の就任から10年の間に、アーセナルは7つのタイトルを獲得した。
その後はわずか2つに過ぎない。2度のFAカップ優勝。
つまりアーセナルは、2006年のチャンピオンズリーグ決勝進出以降――同時にハイベリーからエミレーツ・スタジアムへの移行の時期でもあった――大きなタイトルは何も獲得していない。
さらに深刻なのは、もはや誰もアーセナルを恐れなくなっていることだ。
イングランドでのアーセナルは、春の到来とともにチームが瓦解する。ヨーロッパ大陸でも同様で、ここ7年というものチャンピオンズリーグで準々決勝に進んでいない。
その責任の一端がベンゲルにあるのは否定できない。彼は自らが周囲の状況に絡めとられていることに気づいていない。
ピッチの上でも同様で、チームは彼の状態を反映しているに過ぎない。すっかりマヒに陥り、行き先を見失っている彼の精神状態を。
王位継承をまったく考えていないベンゲル。
往年のリーダーたちはどこに行ってしまったのか。
3度のリーグタイトル('98年、'02年、'04年)を獲得したベンゲルの忠実な信奉者たち――アダムスやキーウォン、ライト、キャンベル、プティ、ビエラらは……。彼らは敵意に満ちたベンゲルの敵対者たちを黙らせることができた。
はたして今のチームに、無敗だった'04年のチームでスタメンを勝ち取れる選手がいるのだろうか。メスト・エジルやフランシス・コクランには、もちろんその力はない。
ベンチのベンゲルは、すべての議論の余地を遠ざけている。
スタッフたちが、彼に何か積極的に提案することなどあり得ない。
ティエリー・アンリやパトリック・ヴィエラといったかつての中心選手たち――チームに新たな血をもたらすことのできる人物たちの意見も、彼は決して聞こうとはしない。
ベンゲルにとって王位の継承は現実的なテーマではない。今もなおその玉座に、彼は強く固執している。