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大家友和の「メジャー挑戦」再び?
41歳ナックルボーラーは今も成長中。
posted2017/03/15 08:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
「メジャーのオープン戦で投げるチャンスがどれぐらいあるかは僕にも正直、分からない。でも、打者相手にもっと投げていけば、そこから見えてくるものがある」
大家友和は、そうきっぱり言った。2月下旬の昼下がり。フロリダ州サラソタ郊外の真新しいショッピングモールのコーヒーショップ。ガラス張りの天井から強い日差しが差し込んでいた。大家は「眩しいから」と言いながら、住宅展示場の一角のようなソファーに腰掛け、今の自分を語った。
「ブルージェイズのマイナーより施設はいいし、食事なんかも全然上。ここはしっかりしている。朝、昼しっかり食べれば夜はそんなに必要ないぐらい。20代の若い連中におっさんが1人混ざってる感じですけど、それなりにやってますよ」
昨年12月、ボルティモア・オリオールズとマイナー契約した彼はその日、オリオールズのマイナー施設にいた。3月上旬から始まるマイナーリーグのキャンプに先駆けて行われるアーリー・キャンプに参加していた。メジャーリーグのキャンプではないので、同じフロリダ州サラソタを拠点としながらも、まったく違う場所で野球をやっている。
ナックルを投げ始めて4年、現在41歳。
「今はもう、ネットに向かって指先の感覚を確かめるために投げるとか、そういうレベルは抜けている。ただ、いくらいいナックルだとこっちが思っていても、打たれたらどうしようもないわけで、それは打者相手に投げてみないと判断できないんですよ」
大家がナックルボールを本格的に投げ始めて4年目になる。2011年までは日米合算で通算59勝を挙げた「普通の右投げ投手」。右肩を手術した後の2013年から、球にスピンを与えない予測不可能な変化球「ナックルボール」を全投球の9割近くとする、いわゆる「ナックルボーラー」に転向した。
「2年前に比べれば、勝負できるようになってるのは間違いない。ナックルの質自体は上がっているし、自分が求めているようなボールが行くようにはなっている。でも、それも結局は打者相手にどうなのかということ。何とかマイナーの開幕まで残ってシーズンで投げたいんですけどね」