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WBC、西武ともに同じ覚悟を持って。
秋山翔吾は「For The Team」の塊。

posted2017/03/15 07:00

 
WBC、西武ともに同じ覚悟を持って。秋山翔吾は「For The Team」の塊。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

WBCで活躍を見せる秋山。国際試合で得た貴重な経験は、西武に戻った時にも生かされるはずだ。

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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Nanae Suzuki

 2017ワールドベースボールクラシックが開幕し、日本中の野球ファンがその勝敗に注目しているが、ふと気づけば、プロ野球ペナントレースの開幕までもう3週間を切っている。侍ジャパンに声援を送りつつも、ひいきチームの仕上がりを気にかけている野球ファンは大勢いることだろう。

 昨シーズンを3年連続Bクラスという寂しい成績で終えた埼玉西武ライオンズのキャンプを、2月に訪れた。辻発彦新監督を迎えたライオンズは例年通り、宮崎県南郷で春季キャンプを行っていた。筆者が訪れたのは、ちょうど第2クールがスタートした日だったと記憶している。

 球場に入り、真っ先に飛び込んで来たのがベテラン勢の元気のいい声だった。

「今の取れるよ~」

「行けるやろ~」

 シートノック中のグラウンドから、厳しくも、明るい声が聞こえてきた。声の主はサードを守る中村剛也とファーストの上本達之だった。

 当初、上本は高知・春野での二軍キャンプで調整する予定だった。しかし、自主トレ中に森友哉が故障をしたこともあり、その森と入れ替わりで宮崎メンバーに加わった。シーズン中もムードメーカー的存在だったが、このキャンプでも積極的に若手を鼓舞してリーダーシップを取っている。

若手からいじられる“松坂世代”の上本。

 上本は1980年生まれ。いわゆる松坂世代である。渡辺直人、木村昇吾と並びライオンズでは最年長選手となるが、リーダーといっても、上本の場合は表に出て厳しい言葉でグイグイと引っ張るタイプのリーダーではない。

 若手選手に冗談を言われ、ときにはからかわれる「イジられ役」に徹して、一方では要所で重要なアドバイスを送る、そのコミュニケーション能力の高さにはいつも驚かされている。もちろん森が二軍スタートとなったのは、ファンにとっては明るいニュースではなかったが、結果的に見れば上本が一軍キャンプで果たした役割は大きく見える。

【次ページ】 口数が少ない中村剛也も叱咤激励するように。

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