プロ野球亭日乗BACK NUMBER
菊池、中田、青木の守備で勝った。
WBC初戦、打線爆発より嬉しい事。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/03/08 11:40
国際試合の異常な緊張感からチームメイトを解放した、菊池のファインプレー。
キューバの猛反撃をキッチリ抑えた日本の守備陣。
4番・デスパイネ(ソフトバンク)の本塁打を口火にキューバの猛反撃を受けた7回には、3点差とされてなお無死一塁で迎えた代打のアラルコンの痛烈なゴロを、坂本から6-4-3ときっちり併殺に仕留めてピンチを切り抜けた。
9回1死一、二塁でも菊池が一、二塁間のゴロを横っ飛びで好捕して、勝利へと最後の一歩を前進させた。
今のキューバには153キロ以上を投げる投手は皆無。
野球では守備にスランプはないと言われ、同時に打線は水ものとも言われる。
今大会でキューバチームを追いかけているインターネットサイト「ベースボールキューバ」のピーター・ビヨークマン記者によると「今のキューバ代表は多くの選手がアメリカに亡命して、投手は第1回、第2回の大会に比べるとかなりレベルが落ちている。特にパワーピッチャー不足で、95マイル(約153キロ)を超える速球を投げる投手は皆無になった」と投手陣の質が低下していると証言する。
強化試合で低迷していた打線が爆発したのは日本代表にとっては朗報だし、もちろん打たないより、打った方がいいには決まっている。ただ、そういうキューバ投手陣相手という現実を冷静に判断すれば、決してこの試合での猛打爆発を手放しで喜べないというのも、偽らざるもう1つの真実なのだ。
きょう8日に対戦するオーストラリア代表戦で先発する右腕のティム・アサートンは長身のパワーピッチャーだけに、この投手をどう打ち崩すかに、侍打線の真価が問われることになるだろう。
そして初戦勝利を振り返って、青木はこう語っている。
「粘り強く戦うということがどれだけ大事かということをみんなが分かっていると思うし、粘って、粘って最後に突き放したというのが良かったと思いますね」