スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
4年前はリーガ3部、今季はコパ決勝。
苦労人が揃うアラベスのリベンジ劇。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2017/03/05 07:00
戦力差があっても逞しくサバイバルするアラベス。彼らの奮闘があるからこそ、リーガの戦いは一筋縄でいかない。
決勝の相手バルサに、今季リーグ戦で勝利している!
ペジェグリーノは新戦力が半数以上を占めるチームに堅守速攻のシンプルな戦術を叩き込んだ。派手さはないが、強豪相手にも接戦に持ち込める手堅さ、しぶとさ。それが敵地でバルセロナやビジャレアルを破り、アトレティコ・マドリーとの2試合をいずれもドローに持ち込んだアラベスの強みだ。
リーガでは24節終了時点で勝ち点33を積み重ね、目標の1部残留まであと少しのところまで来ている。選手たちは現状に満足することなく、あわよくば来季ヨーロッパリーグ出場の可能性が出るリーグ7位以内も狙う意欲を見せている。ただ、今季最大の挑戦が5月27日のコパ決勝であることは変わりない。
リバプールに打ち負けたUEFAカップ以来、16年ぶり史上2度目のファイナル。その相手は最多28回の優勝回数を誇る強豪バルセロナである。実力、経験ともに相手の方が上なのは言うまでもないが、先述した通りアラベスは今季すでにカンプノウで大金星を挙げている。
一発勝負は何が起こるか分からない。それに結果がどうなるにせよ、ビトリア・ガスティスの人々はあと3カ月近くも幸せな夢を見ることができる。そんな「GURE GARAIA」を人々に与えられただけでも、アラベスの決勝進出は十分に意義のあることなのである。