スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
セルヒオ・ラモスは大の嫌われ者!?
古巣セビージャのファンを煽るKYさ。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2017/01/28 11:30
世界最高峰のDFであることは間違いない。しかしセルヒオ・ラモスの言動はマドリーのリーダーとして少し軽率なのかもしれない。
セビージャ側は徐々に態度を軟化させていたが……。
だがラモスは、自身をプロ選手に育ててくれた地元クラブに大きな貢献を果たさぬまま、金だけを残して早々にマドリーへ移籍してしまったのだ。恩を仇で返したと思われても仕方ないだろう。
それでも歳月が過ぎる中で、セビジスタとラモスの関係も徐々に改善されてきた。
移籍当時は公然とラモスを裏切り者扱いしていたデル・ニド前会長も、数年前には「我々はラモスに対して不当であったかもしれない。彼にはセビージャで引退してもらいたい」と発言。2014年にピスファンで代表戦が行われた際には、クラブがラモスを地元出身の功労者として表彰したこともあった。
それらはみな、いつかラモスがセビージャに戻れるようにというクラブ側の配慮だったのだが、それも今回の行為によって水の泡と化してしまった。
ループPKから3日後の再戦で、悪夢のオウンゴール。
マドリー戦の翌日、セビージャはラモスの行為がファンへの挑発であるとし、処分の対象として検討するようスペインフットボール協会(RFEF)と暴力対策委員会に正式に申請した。
またカストロ会長は、先述のラモスの発言に対して次のように答えている。
「誰かに助言したければ、自分のところの会長にすればいい。彼を表彰したのは我々だ。こちらが関係改善に努めてきたというのに、その道のりを閉ざしてしまったのは彼の方だ」
コパでの対戦からわずか3日。今度は国内リーグの一戦で再びピスファンを訪れたラモスは、あろうことかゲーム終盤に見事なオウンゴールを決め、セビージャが土壇場で逆転勝利を手にする足がかりを与えてしまった。