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セルヒオ・ラモスは大の嫌われ者!?
古巣セビージャのファンを煽るKYさ。
 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2017/01/28 11:30

セルヒオ・ラモスは大の嫌われ者!?古巣セビージャのファンを煽るKYさ。<Number Web> photograph by AFLO

世界最高峰のDFであることは間違いない。しかしセルヒオ・ラモスの言動はマドリーのリーダーとして少し軽率なのかもしれない。

ファンを煽ることを承知の上でなぜPKキッカーを?

 試合後のミックスゾーンで記者たちに囲まれたラモスは、そう言ってゴール後のパフォーマンスについて弁明していた。

 しかし、あれだけやっておいて「敬意は欠いていない」はないだろう。

 第一に、残り7分で2点リードの余裕があり、しかもクロースなりベンゼマなり他に任せられる選手がいたにもかかわらず、地元ファンの怒りを煽ることを承知の上でわざわざキッカーを務める必要があったとは思えない。

 母親を侮辱したビリスに対する怒りを示したかった気持ちは理解できる。だがあのような形で応えてしまっては逆効果。自身に向けられる憎しみは増すばかりではないか。

 そもそもラモスがセビジスタの恨みを買った直接の原因は、2005年夏のレアル・マドリー移籍にある。

19歳にして高額年俸、10年契約を要求した直後に移籍。

 当時まだ19歳で、トップチームでは1シーズンしかフルにプレーしていなかったにもかかわらず、彼はチーム最高年俸での10年契約を会長に要求した。

 そしてその要求を「その額に相応しい選手になったらな」とあっさり断られると、今度はマドリーからのオファーに飛びついたのである。

 しかも彼の移籍は両クラブの合意ではなく、マドリーが2700万ユーロの違約金を全額支払うことで一方的に押し通したものだった。

「ここで生まれ育ったわけではないラキティッチやアウベスが神様のような歓迎を受けているのに、自分が戻ると母親を侮辱される」

 ラモスはそう嘆いているが、ファンから言わせれば扱いが違うのも当然のことだ。

 ダニエウ・アウベスは6シーズン、ラキティッチは3シーズン半に渡ってそれぞれ100試合以上セビージャでプレーし、UEFAカップやコパデルレイ、ヨーロッパリーグなどのタイトル獲得に貢献しているのだ。

【次ページ】 セビージャ側は徐々に態度を軟化させていたが……。

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