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レスリング界の新星は女子高生!
登坂・伊調に挑む須崎&南條。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2017/01/27 08:00
全日本で優勝した須崎。今後は同階級のリオ五輪金メダリスト、登坂絵莉に挑む。
南條は須崎に比べて才能を持て余し気味だった。
南條は、レスリングと柔道をしていた父と、リオ五輪柔道日本女子代表監督を務めた南條充寿氏を叔父に持ち、格闘技になじみのある環境に生まれ育った。
須崎同様、小学生の頃から台頭し、中学1年生のときJOCエリートアカデミーに入校。全国中学選手権、全国中学選抜選手権などを制し、高校入学後もさまざまな大会で好成績を残してきた。
だが南條にとって、ずっと追いつきたい存在がいた。須崎である。
周囲からは、練習熱心な須崎と比べて競技への取り組み方に差があると指摘されてきた。リオ五輪の帯同メンバーに須崎らは選ばれたが、南條は選ばれなかった。さらに国体では下の階級から出場した須崎が優勝したのに対し、ベスト8にとどまった。
伊調馨、川井梨紗子が控える激戦区58kg級へ。
この結果を受けても姿勢は改まらなかった。そして大会を直前に控えて、ついにコーチから指摘される。
「悔しい思いをしているくせに、自分の努力が足りていない」
その言葉で、ようやく必死になった。
「この2週間くらいで変わることができました」
そしてこうも語った。
「今回の優勝で(須崎に)ちょっとは追いつくことができたのかなと思います」
南條もまた、2020年の東京五輪を見据える。55kg級は五輪の実施階級ではないため、58kg級での出場を想定している。伊調馨に加え、さらにリオの63kg級金メダルの川井梨紗子も以前戦っていた58kg級に戻しているため、激戦区となっている。