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レスリング界の新星は女子高生!
登坂・伊調に挑む須崎&南條。
posted2017/01/27 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kyodo News
2016年のリオデジャネイロ五輪で、実施6階級中、4階級で金メダル、1階級で銀メダルと好成績を残し、世界屈指の強豪国としての存在を示したのが日本女子レスリングだった。
リオ五輪代表の中には、東京五輪へ向けて中心となっていく年代の選手が多い。しかしそれに輪をかけて、日本の強さはまだまだ続くのではないか……そう予感させるような若い選手が台頭してきた。
中でも注目されるのが、48kg級の須崎優衣と55kg級の南條早映。ともに高校2年生である。
須崎は昨年、快進撃を続けた。6月の全日本選抜選手権で優勝すると、高校総体、16・17歳が出場する世界カデット選手権、国体のすべてで優勝。国体は53kg級のみの実施であったため、須崎は体格で上回る選手たちと対戦する中での栄冠だった。
その勢いはとどまることを知らず、昨年末の全日本選手権も制したが、同選手権では実に全試合無失点の圧勝を成し遂げ、1年を笑顔で締めくくった。
須崎の同階級には登坂絵莉という高い壁が。
父がレスリングをしていた影響もあり、7歳で取り組み始めた。早くから芽を出し、中学1年生で全国中学選手権で優勝。中学2年生のとき、JOCエリートアカデミーに入校した。
足腰の強さ、スピードと、将来を嘱望される存在となっていた須崎に、躍進の2016年をもたらした原点は、2015年末の全日本選手権にある。同大会で決勝に進出したが、入江ゆきに完敗し、悔し涙を流した。
以来、常にその悔しさは胸に刻まれた。大会のたびに、その思いを吐露するほど、悔しさはつきまとった。それが練習への取り組みに好影響を与え、全日本選抜選手権では入江に逆転勝ちで優勝を手にし、全日本選手権は完勝。急速な成長が見て取れる。
目標として見据えるのは、21歳で迎える2020年の東京五輪金メダル。同じ階級には、リオで金メダルを獲得した登坂絵莉がいる。
「尊敬していますが、倒さないといけない選手です」
まだ対戦したことはないが、標的として見定めている。