バスケットボールPRESSBACK NUMBER
167cmの選手が人生初のダンク成功!?
田臥に並ぶBリーグの“顔”富樫勇樹。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/01/17 08:00
田臥勇太と富樫勇樹はBリーグの2枚看板と言っていいだろう。2人合わせて340cm、まさに小さな巨人たちである。
MVPは、SNSのファン投票で選ばれた。
富樫は、来年以降のオールスターをさらに盛り上げるための課題を問われると、具体的な答えを即座に返してきた。
「(試合会場の)演出だったりは、素晴らしかったと思いますし、選手としてオールスターの雰囲気で、もちろんやっていたんですけど、第4クォーターだったり、その手前から、もうちょっとギアをあげてプレーできればさらに良かったのかなと思います」
今年のオールスターのコンセプトは「SNS連動オールスター」だった。MVPは、ファンによるTwitter、Instagram、Facebookの投票によって、選出された。
スターとは作るものでもなければ、見つけるようなものでもない。広く世間に認められたその瞬間に、一気にスターは生まれる。
そして、今回オールスター戦で生まれたスターが、富樫勇樹だったのだ。
試合が終わった直後、ゴール裏の席にいた少年にバスケットシューズをプレゼントした富樫は、そこから記者会見、TVへの出演など、めまぐるしいスケジュールをすべて笑顔でこなしてみせた。
1月9日の月曜日、代々木第一体育館で行なわれた「オールジャパン2017(バスケ版の天皇杯)」で富樫が所属する千葉ジェッツが優勝を決めて始まった濃密な1週間も、ようやく終わりだ。オールスター戦が終わり、取材や打合せなどの対応がようやく終了して、21時半をまわった頃のこと。会場を出ようとした富樫は、知人の姿をみとめると「初のダンクだったから、気持ち良かったすよー!」と、まるで疲れなど無かったかのように、少年のような笑顔を見せた。
体育館を出たら、今度は“出待ち”をしていたファンからの歓声が上がる――。
富樫は、バッシュを持っていた左手をあげて、それに応える。今度は、プロアスリートの顔を見せたのだ。その笑顔のまま、ジェッツのスタッフとともに駐車場へ歩み去っていく。
そこに停めてあった車へ吸い込まれていったのは、大きなモノを担う覚悟を決めた青年の、小さな背中だった。