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167cmの選手が人生初のダンク成功!?
田臥に並ぶBリーグの“顔”富樫勇樹。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/01/17 08:00
田臥勇太と富樫勇樹はBリーグの2枚看板と言っていいだろう。2人合わせて340cm、まさに小さな巨人たちである。
試合前の準備でも、富樫はひと味違う。
例えば、試合前。
ウォーミングアップ、ボールを使う前の段階で、富樫はただ1人手袋をはめながら身体を動かしていた。11月19日の試合の時には、その理由をこう語っている。
「練習でもこのアリーナを使わせてもらっているのですが、まだ冬の準備が出来ていないという話を聞いていて。自分は冷え性なので、冬が近くなってくると、それがかなり影響するというか……。やはり、試合前の準備では、出来る限りのことはしたいなと思っていますから。
そのうち、全身タイツで来るかもしれないですよ(笑)。真っ黒なタイツで、ここ(目)だけ開いていたりして。まぁ、期待しておいてください(笑)」
Bリーグで最多の観客を集める千葉ジェッツの船橋アリーナの課題は、会場が暖まるまでに時間がかかることだ。船橋アリーナで『富樫手袋』なるものが発売されたら売れるんじゃないか……と思うくらい、寒く感じることがある。
そうかといって、富樫が自らのプレー環境に文句をつけることはない。与えられた環境のなかで、黙々と準備に取り組む。
試合前のウォーミングアップでは、トレーナーに手伝ってもらいながら、一見奇妙とも思える独特の動きをしている時が多い。チーム関係者によれば「一般のファンの方からは見えないところで、身体を温める色々な工夫をしている」のだという。
23歳の富樫は、社会人に当てはめると大卒1年目と同じ年齢だ。しかし同い年の若者とは異なり、プロとして活躍するために何が必要なのかを、まるでベテラン選手かのように理解している23歳でもある。
オールスターファン投票で、他の選手を宣伝!?
その一方で、若者らしい一面をのぞかせることもある。
例えば、今回のオールスターのファン投票でのこと。BリーグはSNSを使ってのファン投票を呼びかけていた。
しかし、富樫はありきたりな形での告知などはしない。
投票が行なわれていた時期の富樫は、とにかくネット上を賑わせていた。秋田ノーザンハピネツ時代のチームメイトである菅澤紀行の面白い写真とともに、Bリーグの規定通りにハッシュタグをつけて、「#菅澤紀行」というツイートをしては、ファンを喜ばせていた。
そう、今回のオールスターに出場した選手のなかで、最も多くのフォロワーをかかえているのが、富樫なのだ。彼が楽しみながらやっていたツイートが、安っぽい告知とは比べものにならないほどの効果があったことは言うまでもない。
確かに、フォローワー数で2位につける川村の言葉通り、試合の前からこの日のMVPは決まっていたのかもしれない。