同学年に大谷がいて、山田がいて……。

　弱い人間は、高い目標だけでは気持ちが続かない。近い目標をクリアしていく先に大きな目標を据えようとするのだが、鈴木は違う。

「僕は高い目標でも嫌にならずに結構頑張れるタイプです。自分の中で最強の目標を立てている。打率10割とは言いましたけど、究極です。届かないですけど、1日1日大事にして向かっていけるように練習している。やみくもにやっているわけじゃない。遠回りしてでも自分を試してやっています」

　リミットなどない。意思を持ったスイングで、自らの殻を打ち破ろうとしている。

　同学年に二刀流大谷がいて、同じセ・リーグの右打者には2年連続トリプルスリーの山田がいる。

「目の前で山田さんがやっているので、（トリプルスリーを）僕もやりたいという思いは毎年強くなっている」

　超一流を身近に感じられる環境もまた、鈴木の空腹感を刺激する。今年は世界も待っている。立ち止まってはいられない。