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松坂大輔は復活を絶対に諦めない。
プエルトリコで見せた意外な球威。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byAFLO

posted2017/01/16 11:30

松坂大輔は復活を絶対に諦めない。プエルトリコで見せた意外な球威。<Number Web> photograph by AFLO

ホークスとの3年契約も残り1年。登板は昨季の1試合に留まっている。9月に37歳となる「平成の怪物」の復活はあるのか。

工藤監督「絶対にあきらめちゃ、ダメだ」

 去年のシーズン最終戦(10月2日)、松坂は敵地での東北楽天戦に登板して1回3安打で4四死球を出して5失点した。理由は何であれ、誰にとってもショッキングな結果だった。だが、その結果を受けてなお、ソフトバンクの工藤公康監督は松坂にこう言ったそうだ。

「絶対にあきらめちゃ、ダメだ」

 その言葉は今、我々にも向けられている。

 冬季リーグの2戦目の試合後、松坂はこう言った。

「何かを変える時には思い切ったことが必要。投げながらストレスを感じるかも知れないが、うまく変われるきっかけを掴めたらいい」

 腹を括った言い方だった。冬季リーグ初戦では4回1安打2失点で6四死球を出したものの、2戦目はノーワインドアップから繰り出す2シーム・ファストボールが冴えて5回3安打1失点で2四球。「狙った通り、内野ゴロアウトが取れた」と手応えを口にした。

松坂はいつだって「今のベスト」を追い求めてきた。

「今の自分の状態を改善していく中で何がきっかけになるか分からないので、とにかく変えて行こうと、いい方向に変えられるきっかけになればいいなと思って始めたのが、ノーワインドアップと、2シームを多投することだった」

 そう言った彼の姿が、2013年の彼にダブって見えた。2011年に受けた右肘のトミー・ジョン(側副靭帯の再生)手術を受け、2013年にはインディアンスでマイナー生活を余儀なくされたが、同年の終盤にメッツに移籍してメジャー復帰を果たした。当時、彼は「自分の納得するボールが投げられない」と告白しながらも、7試合で3勝を挙げてみせた。

「自分の持っているもの、今ある引き出しを全部使って、何とか抑えている感じです」

 肩や肘に何の不安もなかった頃でさえ、「もっといい球を投げたい」と投球フォームを作ってはバラす作業を繰り返し、「今のベストは何なのか?」という問いに対して自分で答えを出してきたような上昇志向の強い人である。

 だから、たとえば冬季リーグで「ノーワインドアップと2シームに繋がりはあるのか?」と問われても、素直にこう答えるしかないのだと思う。

「現時点では分からないですね」

【次ページ】 打者を詰まらせる速球を何球も投げていた。

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