濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
PRIDEとRIZINの生き証人、川尻達也。
グレイシー戦敗北の痛みと重み。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2017/01/10 11:00
勝負に出た踏みつけが結果的には裏目となった。だがそのアグレッシブな闘争心こそ、ファンが川尻に魅了される理由である。
北岡や所、川尻は生き証人として歴史を背負う。
今回の川尻の敗因は、(クロンの底なしとも言える強さもあるが)踏みつけという“深追い”をしたことにあった。なぜそこまで攻めたのかといえば、今までとは違う自分を見せたかったからだという。
PRIDE時代は殴り合いにのめり込みすぎることもあった。その反省を踏まえ、DREAM以降はテイクダウンとトップキープを中心にした確実性の高いスタイルに変化。UFCでは、広いケージに対応するためトリッキーな打撃を見せるようにもなった。
そして今また、川尻は新たな“RIZINモード”の闘い方を模索している。かつて「これ以上強くならない、進歩できないと感じたら引退します」と川尻は言っていた。明らかに、今はまだその時ではない。
北岡や所、川尻は歴史を背負っている。PRIDE活動休止からRIZINスタートまでの期間が“空白”などではなかったことの生き証人だ。彼らの存在は、これからもRIZINという新イベントに“重み”を与えていくだろう。