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小学生チーム監督、国家資格受験。
馬原孝浩が歩む誠実な第2の人生。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2016/12/26 07:00

小学生チーム監督、国家資格受験。馬原孝浩が歩む誠実な第2の人生。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

馬原にとってソフトバンク最後の試合となった2011年日本シリーズ第6戦。それ以来となる「14番」を背負って未来ある球児とともに戦う。

「柔道整復師と鍼灸の両方を一気に勉強している」

「バファローズに移って2年目にはある程度の成績('14年、55試合32ホールド)を残すことは出来ましたが、体が限界を超えた中でプレーしていました。何が限界かも自身の体験で知ることができたし、そんな状況でも投げられた。また、それ以前に故障を防ぐ方法などもあるかもしれない。これからのアスリートや子どもたちが頑張って、結果を出してくれれば、僕はそこにやりがいを感じることが出来ると思うんです」

 現在は北九州市の専門学校の夜間部へ週6日通っている。資格試験を受けるまでまず3年間は学校に通わなければならない。

「柔道整復師と鍼灸の両方を一気に勉強しているところです。このスケジュールで併学していると周りに言うと、専門家ならば大体みんな絶句します(笑)。次に『無茶だろ』と言われますね」

 入学当初はほとんどが否定的な声だった。「元プロ野球選手なのに……」とも言われた。

「勉強なんか出来ないだろうと思われているんです。いや、見てろよと思いましたよ」

「小学生を率いるから引き受けたんです」

 定期的に筆記テストも行われるが、クラスで1位の点数をとったこともある。いかにも負けず嫌いだった馬原らしい。

「学校の行事にも参加しています。学園祭では輪投げコーナーの店番をやりました。昼間は勉強に充てることが多い。そうしないと追いつけない。あ、でも地域のソフトボールに出ましたよ、センターで。23年ぶりに優勝しました。活躍? いや、全然(笑)。みんなホントに上手いんですよ」

 解説者の誘いもあったが断り、人生プランについても「プロで指導者になることに今は興味がない」と言いきっている。

「ホークスJr.の監督だって、小学生を率いるから引き受けたんです。約400人のセレクションの中から選ばれた18名だから、ものすごく上手だし、今後も野球であらゆる方向へ進む可能性のある子どもたち。責任も感じながらやらせてもらっています」

【次ページ】 「右肩を痛めているし、伝えられることはある」

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