“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高校時代の宿敵が鹿島の盟友に。
昌子源と赤崎秀平、'09年の邂逅。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byGetty Images
posted2016/12/13 11:50
柴崎岳を筆頭とする次世代組の中心を担う昌子源(後列左端)と赤崎秀平(後列中央)。世代交代に成功した鹿島は、強い。
有名選手だった赤崎とほとんど無名だった昌子。
米子北の2年生CB昌子源と、佐賀東のエースストライカー・赤崎秀平。
赤崎は3年生で、U-18日本代表に選出されるなど、すでにプロのスカウト陣が争奪戦を繰り広げている注目株で、昌子はこの時点では全く無名な存在だった。
だが、この試合で昌子の評価は一気に高まったのだ。
エース赤崎と無名CB昌子のマッチアップは、この試合で高校レベルとは思えない激しい攻防を繰り広げたのである。
この試合には、後のJリーガーがこの2人を含めて5人いた。
米子北には昌子の他に3年生FW山本大稀(現・栃木SC)、2年生FW谷尾昂也(元・川崎、現・ヴァンラーレ八戸)。佐賀東には2年生MF中野嘉大(現・川崎)と、将来を感じさせる才能ある選手たちがピッチに立っていたことになる。
鮮やかに蘇る――赤崎vs.昌子の対決。
試合はハイレベルなもので、中野を中心としたポゼッションから赤崎の飛び出しを活かしてゴールを重ねて来た佐賀東と、昌子を軸にした堅守と、山本と谷尾のツートップの破壊力で勝ち上がって来た米子北とは、いい勝負となった。
個性が全く違う両者の戦いの中で、ハイライトは赤崎vs.昌子のマッチアップとなった。
「相手が上手ければ上手い方が、注目されていればされている方が、燃える」
昌子のプレーはまさに鬼気迫るものがあった。
それに対し、赤崎も常に動きに変化を加えながら、昌子のマークを振り切ろうとしていた。
立ち上がりからバチバチの2人。
19分には赤崎が右からドリブルでカットインして昌子を振り切ると、強烈な左足シュート。これはGKのファインセーブにあうが、赤崎が昌子に示した挨拶代わりの一撃となった。