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ブレーヴス黄金期を作った76歳。
剛腕GMと野球の殿堂。
posted2016/12/10 07:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
ジョン・シャーホルツの殿堂入りが決まった。特別表彰にたずさわるヴェテランズ委員会の投票で、16人中16人に推され(つまり満票)、前コミッショナーのバド・シーリグとともに選出されたのだ。選手や監督ではないため馴染みは薄いかもしれないが、GMシャーホルツの評価は非常に高い。常勝球団を作り上げる腕は天下一品、といっても過言ではないだろう。
ただ、球史を振り返ると、殿堂入りしたGMの数は意外なほど少ない。入所者第1号は、1953年のエド・バロウ(ヤンキースGM。1868~1953)だ。以後、'67年のブランチ・リッキー(カーディナルスやドジャースのGM。1881~1965)、'71年のジョージ・ワイス(主にヤンキースのGM。1894~1972)、'78年のラリー・マクフェイル(主にドジャースのGM。1890~1975)と、19世紀生まれの大物たちがつづく。
そのあとは、30年以上の間をおいて2011年のパット・ギリック(ブルージェイズやオリオールズのGM。1937~現在)。評価の高かったバジー・バヴェイジやフランク・キャッシェンらは選ばれていない。ビリー・ビーンやセオ・エプスタインの選出は、しばらく先のことになるだろう。
若き日にスカウティングや若手の育成で力を蓄えた。
1940年10月生まれのシャーホルツは、76歳のいまもアトランタ・ブレーヴスの球団社長を務めている。
彼がフロント・オフィスの仕事をはじめたのは、1966年からだ。オリオールズの下働きからスタートし、'69年、ア・リーグのエクスパンション(球団増設)でロイヤルズが誕生した際、当時のボスだったルー・ゴーマンに従ってカンザスシティへ移っている。
担当は、スカウティングや若手の育成。ジョージ・ブレット、フランク・ホワイト、ウィリー・ウィルソン、ダン・クイゼンベリーといったのちの大物はすべて、シャーホルツに発見され、育てられている。ロイヤルズは黄金期を迎え、'76年から'80年の5年間で4度も地区優勝を果たした。