Jをめぐる冒険BACK NUMBER
浦和が敷いた珍しい守備隊形の理由。
美学よりも、相手が嫌がることを。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/11/30 17:00
チームの勝負強さの根幹を支えるJ1最少失点の守備陣。鹿島はこの鉄壁の守備陣から2点を奪わなければならないが果たして……。
なぜ彼らは2戦目を残して手の内を明かしたのか。
ちなみに、第2戦を残した段階で森脇や遠藤がビルドアップの狙いについて明かしたのは、鹿島が対策を練ってきたとしても、それを上回れる自信があるからだろう。
「今日は3枚でボールを回しましたけど、鹿島が違う形で来れば、4枚で回そうという話はしていました」
相手の出方によって臨機応変に対応する準備があったことを、森脇は強調した。
決勝第2戦は12月3日、浦和のホーム、埼玉スタジアムで行なわれる。
改めてレギュレーションを確認すると、延長戦やPK戦は行われない。2試合を終えた時点で勝利数の多いチームの優勝となり、勝利数が同じ場合は、(1)2試合の得失点差、(2)2試合におけるアウェーゴール数、(3)年間勝ち点1位のチーム、の順で優勝チームが決定する。
つまり、浦和が勝つか引き分ければ文句なし、たとえ0-1で敗れても浦和の優勝となる。
一方、鹿島が優勝するには2点差以上で勝つか、1点差の勝利でも2-1以上のスコアが必要となる。そのシチュエーションの難しさについて、鹿島の土居聖真が言及する。
「今日より攻撃的にいかなければならないんですけど、失点すれば絶望的なので難しい。でも、点を取らなければ勝てないので、絶対に2点以上取って勝ちたいと思います」
第2戦で鹿島はどのようなプランを用意し、どのようなメンバーを送り込むのか。それに対して、浦和はどのような試合運びを見せるのか。チャンピオンシップ特有のレギュレーションが、勝敗を大きく左右するかもしれない。