中学時代は公園で練習、SASUKEみたいな特訓とは？ 5ゴール快勝・静岡学園MF玄理吾（J2徳島内定）の異例すぎる経歴

　高校サッカー選手権1回戦で、徳島商業に5－0で快勝した静岡学園。「4人のJリーグ内定者を擁する優勝候補」という前評判通り、テクニックとアイデア溢れるサッカーで観客を魅了した。

　いきなり自慢の攻撃陣が爆発したが、そんなタレント揃いのアタッカー陣を支えているのがボランチの玄理吾（ひょん・りお）だ。ボールを失わない抜群のキープ力とバランス感覚で後方から攻撃を司り、この日もジュビロ磐田入りが内定するMF古川陽介の華麗なゴールをアシストした。

　玄もまた、来季から徳島ヴォルティス入りが決まっている“プロ内定者”の1人だが、ただ他の3人と異なるのは、その経歴だ。

　名門・静岡学園にやってくる選手のほとんどは、中学時代に全国大会を経験した者や世代別日本代表、地域選抜に名を連ねた者ばかり。高卒でプロ内定をもらえるような選手であれば、なおさらだろう。しかし、玄が中学時代に出場した公式戦はわずか2試合。しかもそれは中学1年の頃の話で、それ以降一度も公式戦のピッチを経験することがないまま、静岡学園にやってきた。

「あいつは何者なんだ？」

「最初は、誰も知らなかったし、あいつは何者なんだ？と思いました」

　京都サンガの下部組織出身で、エースナンバー10番を背負う古川は、入学当時から“無名の存在”だった玄のプレーに驚かされた。ベンチに座っている時も「肩でリフティングしていた」というサッカー小僧ぶりだけでなく、テクニシャンが揃う静岡学園においても足元の技術やボールフィールディングの能力はずば抜けていたという。

　韓国籍である玄は兵庫県出身。小学校時代は地元のクラブチームに所属する傍ら、静岡学園OBで横浜フリューゲルスでもプレーした坂本義行が代表を務めるFC Libre（リブレ）が展開するサッカースクールに通っていた。

「坂本さんはめちゃくちゃ上手くて、僕がどんなに頑張ってもボールを奪えないんです。憧れの人であり、今も尊敬する人。僕も絶対に静岡学園に行ってプロになる、と思っていました」

横浜フリューゲルス時代のFW坂本義行（左/1993年）©️J.LEAGUE

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　中学の進路を決める際、玄には2つの選択肢があった。別のクラブチームに進むか、そのままFC Libreのジュニアユースに残るか。他にも10人のスクール仲間がいたが、結果的にジュニアユースに進んだのは玄だけだった。仲間たちはガンバ大阪などのJクラブの下部組織や街クラブを選んだ。

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