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凱旋試合での世界基準と高い志。
松山英樹、日本ゴルフ界への愛情。
posted2016/11/16 11:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
当然と言えば当然かもしれない。それでも、ありあまる期待以上の回答を出すのだから、誰もが賛辞を惜しまない。
中国でアジア勢初の世界選手権制覇を遂げた松山英樹が、2週間後に静岡・御殿場で行われた三井住友VISA太平洋マスターズで圧勝した。
初日から単独首位を独走し、後続に7打差をつける快進撃。10月の日本オープンから出場4試合で3勝、単独2位が1回。日本、マレーシア、中国、そして日本と遠征を続け、状態は万全でないながらも直近14ラウンド連続で60台をマークする実にハイレベルな安定感を誇示している。
松山は優勝会見で「日本では1日ハマれば勝てる。米ツアーでは3日、ハマらないといけない」と言った。
凱旋試合で見せつけた“3回”という世界基準。
受け取り方によっては鼻もちならない言い草にも聞こえるが、補足が必要だろうと思う。日本では1試合4ラウンドのうち、1回でも他選手を抜きんでるロースコアが出れば「優勝争いのチャンスがある」というのが大意。もちろん“ハマらない”日に大叩きをしてしまえば、その輪には加われない。
いずれにしても、松山は体感する日米ツアーのレベルの差を自分なりに表現した。そして「今週はそれ(ハマった日)が“3回”あった」という。いわば、この試合のスコアメークは米ツアーにおいても優勝争いに加われるもの。凱旋試合で「世界基準」を見せつけてくれたわけだ。
圧勝ムードが漂った会場で、誰かが言った。
「来週、再来週あたりにマスターズがあればいいのに」――。