箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
東海大学の「黄金世代」がまた1人。
1年生で全日本区間賞、館沢亨次。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byShunsuke Mizukami
posted2016/11/11 11:00
青山学院の次の覇権を確実視されている東海大学。黄金世代が、着実に頭角を現しつつある。
成績を出さないと、寮の1人部屋が没収に。
その競争意識の良い例は、部の寮の部屋割りにも見て取れる。
東海大学陸上部の寮では、3カ月ごとに部屋割りが変わるという。その期間の実績次第で、1人部屋なのか、2人部屋なのかが変わるそうだ。いまは1人部屋を使えているという館沢は、今回の区間賞で「もう3カ月はなんとか……」とホッと胸を撫で下ろしていたが、そういったチーム内での競争は非常にシビアだ。それだけに今回の館沢の区間賞は、他の1年生にとっても大いに刺激になったに違いない。
館沢は言う。
「学年ミーティングでも、『自分たちで黄金時代を作ろう』という話はしています。4年生になった時……とは言わずに来年、再来年から活躍して行きたい。最後の年だけしか活躍しちゃいけない決まりは無いですから(笑)。だからこそ、来年の箱根駅伝でも経験を積んで、どんどん結果を残して行きたいですね。個人的にはいずれは5区の山登りに挑戦してみたいです。やっぱり山は箱根の名物でもあるので……」
語り口は朴訥で、饒舌なタイプではない。だからこそ、館沢の言葉には強い信念が感じられた。
「自分たちの世代で、『強い東海大』を作りたいんです――」
チーム内で切磋琢磨し、実力を伸ばすルーキー達が勢いづける「湘南の暴れん坊」は、まだまだその力の底を見せていない。新年の箱根路、三冠を狙う王者・青学大を慌てさせるのは、スカイブルーのユニフォームに身を包んだ、1年生たちかもしれない。