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超スター軍団を1人の名将が撃破!
NBA開幕戦で見たポポビッチの魔法。
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph byAndrew D. Bernstein/Getty Images
posted2016/11/07 07:00
ウォリアーズ相手に快勝し、スティーブ・カーヘッドコーチと健闘を讃え合うグレッグ・ポポビッチ(右)。
ポポビッチが見つけた、ふたつのウォリアーズ対策。
ウォリアーズの一番の魅力は、ディフェンスから早いペースの攻めでスリーポイントを連発し、短時間で大量得点をあげる攻撃だ。
その中心はエースのステフィン・カリー。
変幻自在のドリブルから天才的な長距離シュートを高確率で決めるのが特徴。
相手が彼を止めることに集中してくれば、周りの選手にボールを捌き、味方のシュートチャンスを作る。このパターンを高速ペースで展開するため、ほとんどのチームが対応しきれない。
そこでポポビッチがとった巧妙な策が2つ見られた。
ひとつは、カリーが速攻やスリーを決めてチームにリズムをもたらす瞬間、即座にタイムアウトを取り流れを徹底的に切ったこと。前半だけでもカリーがスリーポイントを決めた直後に3回タイムアウトをとっている。
これにより、相手の流れを切るだけでなく、スパーズの守備を修正することができた。
ふたつ目は、自軍の攻めをドライブやインサイド中心に組み立て、遠くへ跳ね返るリバウンドを封印したこと。
バスケットボールをシュートしたことがある人ならばお分かりだと思うが、遠くからのシュートはその勢いの分、外したときの跳ね返りも大きい。
ウォリアーズの速攻パターンのひとつがロングリバウンドからの展開であったから、ロングシュートを抑えることで、ロングリバウンドの発生率を極限に落としたのだ。
単にスパーズのメンバーはスリーが得意でないからだ、と思う方もいるだろうが、ポポビッチはあえてその作戦を徹底していた。
ベンチメンバーの差をうまく活用したスパーズ。
その証拠に、カリーを始めとしたスタメンが交代し、ベンチメンバーが出てきた際に、スパーズのベンチメンバーにはウォリアーズの株を奪うハイペースな展開を指示し、ミルズ、ジノビリ、シモンズらがスリーポイントを含んだ攻撃でウォリアーズのベンチメンバーを圧倒していた。
さらに言うとウォリアーズはデュラントを獲得した代償としてベンチメンバーをガラリと入れ替えざるを得ず、スピードのないベテランと経験の少ない若手で構成されているのが現状だ。