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超スター軍団を1人の名将が撃破!
NBA開幕戦で見たポポビッチの魔法。
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph byAndrew D. Bernstein/Getty Images
posted2016/11/07 07:00
ウォリアーズ相手に快勝し、スティーブ・カーヘッドコーチと健闘を讃え合うグレッグ・ポポビッチ(右)。
当たり前の作戦を徹底できるのが、ポポビッチ。
ポポビッチはウォリアーズのベンチメンバーが自軍のベンチメンバーに対抗することができないことを把握した上で、この状況を作りだした。
その結果ベンチからの得点がスパーズ54得点に対し、ウォリアーズはたったの16点にとどまった。
試合中盤からグリーンやデュラントを中心に巻き返しを狙ったウォリアーズに対しても、ポポビッチは終始弱点であるインサイドを攻め続けた。
ウォリアーズ新加入のパチュリアは攻守ともに噛み合わず、スパーズ、オルドリッジに好きなようにやられてしまった。リバウンドの獲得数も55対35と20本も多くスパーズがとった。
ウォリアーズはデュラント獲得のために放出せざるを得なかったボガートやエジーリの存在の大きさを痛感した瞬間だったと言える。
終わってみれば、スター軍団のウォリアーズの弱い部分を冷静に攻略したに過ぎない。当然の作戦のように思うが、その当たり前のことを徹底するところがポポビッチという人の賢明さだと感じる。
ポポビッチがリーグ全体に知らしめたウォリアーズ対策。
試合後、ウォリアーズのグリーンは「出会い頭でいいパンチをお見舞いされた」と言った。まさにそれが素直な感想だろう。
デュラントは「いい目覚ましになった。でも82分の1試合に過ぎない。切り替えていく」と前向きな発言をした。
彼らの言う通り、これは82分の1試合目だし、ウォリアーズはそれでも圧倒的に強いことも確かだ。実際、その後彼らは順調に勝ち星を重ねている。
しかしこの開幕戦でポポビッチが見せた戦い方こそが、残り28チームの今年度のウォリアーズ対策の基本フォーマットとなるだろう。