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セリエAで選手vs.監督の親子対決!
シメオネ、ハジの息子も父超えなるか。
posted2016/11/03 07:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
昔、イタリアに来たばかりの頃、時間潰しに安アパートでTVをザッピングしていたら、『巨人の星』(伊題『TOMMY, LA STELLA DEI GIANTS』)が放送されていて大層驚いた。
そのまま画面に食いつくように見続けたが、どうも違和感がある。
「飛雄馬!」「父ちゃん!」というド根性親子のやり取りが「トンミ!」「パパー!」だった。
悲願かなって巨人の投手になった息子・飛雄馬に中日コーチとして敵対する父・一徹。愛憎渦巻く骨肉の争いに「パパー!」ではどうもしっくり来なかったのだが、最近、セリエAで本物の親子対決が実現した。
先月23日の“ロマーニャ州ダービー”で、相まみえたのは2人のディフランチェスコだ。サッスオーロ監督である父エウゼビオとボローニャの若手FWの息子フェデリコは、奇遇な運命を享受した。
「子供の頃、パパを抜くのは難しかった。今は……」
「親子でセリエAで対戦できるなんて滅多にあることじゃないし、誇らしく思うよ。ただし、試合の間は敵だ」
息子フェデリコも一歩も引かなかった。
「俺がまだ小さかった頃、1対1でパパをドリブルで抜くのは難しかった。今やったら負けるわけがない(笑)」
サッカー選手の息子といえど、始まりに特別なことは何もなかった。
2、3歳まで車に夢中だったフェデリコに、ある日、父エウゼビオがスポンジでできたボールを持ってきた。当時、ローマでFWトッティらとプレーしていた父は言った。
「ちょっと蹴ってみるか?」
それ以来、フェデリコはボールと離れたことはない。父の試合をTVで見るようになり、父は彼にとって永遠のヒーローになった。