セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
セリエAで選手vs.監督の親子対決!
シメオネ、ハジの息子も父超えなるか。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/11/03 07:00
監督・エウゼビオと選手・フェデリコ。ダービーで直接対決したディフランチェスコ親子は何を思っただろうか。
試合後、スーツ姿の父は汗のにじむ息子を抱きしめた。
父子鷹で有名なミランのマルディーニ父子は例外としても、イタリアでは昔から血統主義が盛んだ。今季の若手以外にも、ミランDFアバーテやジェノアとキエーボでプレーするリゴーニ兄弟らは、やはりサッカー選手だった父をはるかに凌ぐ実績を積み上げている。
さて、史上稀に見る親子対決は、1-1の痛み分けに終わった。
父エウゼビオは先制された後、4-2-4にスイッチして土壇場の86分に追いついた。ベンチスタートだった息子フェデリコは、再び勝ち越しを狙ったボローニャの指揮官ドナドーニからその2分後にピッチへ送り出されたが、サイドアタッカーとしての持ち味を活かせず、タイムアップを迎えた。
試合後、スーツ姿の父は、うっすら汗のにじんだユニフォーム姿の息子を固く抱きしめた。
息子もハグを返しながら、父の背中に回した右手をポン、ポンと2度叩いた。父の背中を追う彼がそのキャリアに追いつくのは当分先だろう。
ただし、敵軍の将として対峙した父エウゼビオは複雑な心情を吐露した。
「ゴールされるんじゃないかとヒヤヒヤした」
長所も弱点も知り尽くしていると思い込んでいた息子は、いつの間にか自ら禄を食み、自分を脅かすまでに成長していた。
よもやエウゼビオが『巨人の星』を知っているとは思わないが、彼は星一徹も感じた父親としての至福を得たにちがいない。