2016年の高橋由伸BACK NUMBER

CSでの死闘は希望なのか絶望なのか?
高橋・巨人に奇跡を願った、この1年。
 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byNaoya Sanuki

posted2016/10/14 17:00

CSでの死闘は希望なのか絶望なのか?高橋・巨人に奇跡を願った、この1年。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

今季終了にあたって「互いに総力戦の中で精いっぱい戦った。その中で、私の力不足を痛感した」とコメントした高橋監督。

一昨年の阪神の下克上を思い出したのだが……。

 たとえば一昨年の「阪神タイガース日本シリーズ出場決定」。

 阪神はシーズン終盤にヨレヨレとなり2位が危ぶまれた。しかし3位の広島が巨人相手の最終戦をエース前田健太で落とし、阪神の2位が確定。続く広島とのCSファーストステージでは「2試合の合計得点が1点だけ」で阪神は勝ち抜けた。

 するとおもしろいように阪神に勢いがついてファイナルステージで巨人に4連勝。下剋上を果たした。つくづく思ったのが「潮目が変わる」ことの不思議さだった。

 クルーズ抹消に菅野智之も離脱。

 こうなるとあとは「良いこと」しか起こらない。

 私はその可能性を考えた。

大勝負に「普通」に敗れてしまうチームになったのか。

 菅野離脱に関しては、1カ月前のこの記事も思い出した。

「対戦濃厚ベイと相性最悪…巨人菅野にCS第1S“温存”プラン」(日刊ゲンダイ・9月16日)

《「CS第1Sの最大3試合をエースの菅野を温存して勝ち上がれないかという声がある。原前監督時代の昨年も2位で『マイコラスか菅野のどちらかを第1Sで温存して最終Sの初戦に投入しよう』と温存案が話し合われたことがある。(略) 要するに中4日はムリなんだという結論に至ったんです」(チーム関係者)》

 つまり、広島とのファイナルステージを本気で勝ちに行くなら横浜戦はあえて菅野を温存するという作戦だ。どうせ17.5ゲーム差も離されての“ありがたいCS出場”なのだから、負けてもともと、イチかバチかのこの戦術はアリだ。

 そう思って注目していたら、クルーズの穴を埋めるラッキーボーイが出てくるでもなく、菅野は本当に体調不良だった。

 では惨敗するかと思いきや、最後の最後まで粘った。そして力尽きた。クルーズと菅野の不在が響くという「普通」の結果になった。

 マイナスをプラスにするのは今の巨人には無理であることを証明してしまったのである。「劇的に潮目が変わる」なんてミラクルは起きないことを突き付けられた。もっと言えば、こういう大勝負に「普通」に敗れてしまうチームになってしまったのかもしれない。なんだかんだ言って節目の名勝負はモノにしてきた巨人が。

【次ページ】 「2016年の高橋由伸」よ、ありがとう!

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