リオ五輪PRESSBACK NUMBER
フェルプス、メダル28個を勲章に去る。
“後継者”萩野に託したメッセージ。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJMPA
posted2016/08/15 16:00
競泳界のスーパースターであるフェルプス。リオ五輪でも、五輪競泳史上初となる同一種目の4連覇達成(200m個人メドレー)など数々の偉業を達成した。
全盛期が過ぎ去ったはずの“水の怪物”の鮮烈な泳ぎ。
リオを前に、フェルプスは「かつての泳ぎを取り戻せないだろう」と思われていた。
事実、アメリカのリオ代表選考会を兼ねた全米選手権ではいまひとつの泳ぎと結果に終わっていた。
だからアテネや北京のような、圧倒的な活躍ができるのか、奥野コーチに限らず疑いの目がある中での活躍だったからこそ、なおさらその泳ぎは鮮烈であった。
フェルプスもまた、この200mバタフライを印象に残るレースにあげている。
「この大会で、そして私のキャリアの中で、もっとも素晴らしいレースだったかもしれません」
フェルプスにとって、200mバタフライは苦い思い出がある。得意としてきたこの種目だが、2012年のロンドン五輪で2位に終わったことだ。
一度は第一線を退きながら復帰したのは、自身の手に取り戻したいという思いが強かったからかもしれない。
「フェルプスは僕の永遠の目標、スター」(萩野)
フェルプスは、日本の選手たちにも大きな存在だった。坂井は語った。
「一緒に泳げることでワクワクしました」
萩野は、200m個人メドレーでフェルプスに次ぐ2位となったあとに話した。
「フェルプス選手は僕の永遠の目標で、永遠のスターです。そんな彼ともう少しいい勝負をする準備、トレーニングを積んできたので、それができなかった悔しさというのがすごくあります」
フェルプスの最後のレースとなったのは、23個目の金メダルを手にした13日の4×100mリレーだった。
「ある子どもが、『水泳を変えたい』と思ったところから物語は始まり、夢を生きてきました。金メダルとともに、最高のフィニッシュを迎えられました」