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フェルプス、メダル28個を勲章に去る。
“後継者”萩野に託したメッセージ。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byJMPA

posted2016/08/15 16:00

フェルプス、メダル28個を勲章に去る。“後継者”萩野に託したメッセージ。<Number Web> photograph by JMPA

競泳界のスーパースターであるフェルプス。リオ五輪でも、五輪競泳史上初となる同一種目の4連覇達成(200m個人メドレー)など数々の偉業を達成した。

「萩野選手は背泳ぎ、バタフライでも挑戦できる」

 一夜明け、メディアの前に姿を現すと、あらためて引退を発表した。

「自分がどこまでやれるかを知りたくて、オリンピックに戻ってきました。もうやることは残されていません」

 穏やかな表情で切り出した。

「私の成功は並大抵のものではありません。目標を設定すれば、到達できると信じてきたし、たどり着くまであきらめることもなかった」

「私は、私の記録が破られるのを見たいと思っています。挑戦する姿を見たいと思っています。1972年にマーク・スピッツが7つの金メダルを獲得したあと、どれだけ多くの人が破れないと思ってきたでしょう」

 その記録を破った当人はこうも語った。ふと、期間中、萩野について話していたことを思い出す。

「萩野選手は背泳ぎやバタフライでもオリンピックに挑戦できると思います」

フェルプスの偉業を継ぐ者は果たして……。

 8月13日をもって、競泳史に残る偉大なスイマーは、プールを去った。

 その後を追いかける、継ごうとする選手たちがいる。そしてまた、歴史が築かれていく。

 日本の多くの選手にとって憧れであり目標でもあったフェルプスのリオでの存在感は、あらためて、大きな刺激となっただろう。

「私が泳いでいる姿を、もう見ることはないでしょう」

 最後にそう言って会見場を去ったフェルプスのバトンを受け継いでいくことが、選手たちを成長させる。強くさせる。

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