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浅野拓磨が3戦目に描く「イメージ」。
かかとの痛みはピッチでは忘れる。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJMPA
posted2016/08/10 11:40
アーセナル入りが決まっていることもあって、浅野拓磨には世界の熱い視線が注がれている。
引いてくるスウェーデンにも、得点のイメージはある。
スウェーデンは自陣にブロックを敷いてくる。アタッキングサードにスペースを見つけるのは難しいが、ゴールへのイメージは明解だ。
「コロンビア戦で僕が決めたゴールもそうでしたが、狭い局面でも打開できる力がこのチームにはある。自分たちが自信を持ってボールを動かすことができれば、ああやってゴールできる。僕自身もスペースがないなかでも、自分のポジショニングとかに集中できていれば、ゴールは奪えると思う。僕がDFラインの裏へ走ることで、裏が警戒されていても違うスペースが空いてきたりするので、そこは試合のなかで感じてプレーできればいいと思います」
日本がスウェーデンに勝利しても、コロンビアがナイジェリアを下せば2位には浮上できずグループリーグ敗退が決まってしまう。条件は厳しいものの、浅野はチームの地力を信じている。
「いまの状況が厳しいのは分かっていますけど、こういうときこそ僕たちは力を発揮できると思っているので、勝つことだけを考えてやりたい。僕たちは苦しいときにこそ結果を出してきたチームで、それは偶然ではなくて、ひとつの方向にみんなの矢印が向いたときに、一体感が出て結果を残せてきている。
苦しいときこそやるんだという一体感は、どのチームにも負けない。いまみたいに苦しいときこそ、まとまって戦えるんじゃないかと思います。僕たちは勝つしかないので、とくに変なことは考えずに、持ってるものをすべてピッチで表すことができれば、勝利できると思いますし、神様も見てくれると思うので。このチームで1試合でも長くやりたいと思っているチームのほうが、底力が出せると思っていますし」
「このチームで長くやりたいなと」
支えとなる記憶がある。
「僕自身、高校2年生の選手権のときにそういう経験をしています。このチームで長くやりたいなと毎試合、毎試合思っていたら、気がついたら決勝戦まで勝ち進んでいた。いまこのチームに対してもそういう気持ちですし、そういう気持ちでやれれば、持っているものをすべて出し切れると思うので」
右足のかかとに居座る痛みが、スウェーデン戦までに癒えるとは考えにくい。それでも、浅野は決意を固めている。
「今度こそ、勝利につながるゴールを決めてチームに貢献したい。自分が持てる力をすべて出し切りたいので、僕はスタートから出たいです」