リオ五輪PRESSBACK NUMBER
史上最多7種目、日本新はいくつ?
16歳・池江璃花子はセンスの塊。
posted2016/08/08 17:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
JMPA
16歳の進撃が止まらない。
女子100mバタフライ決勝で、池江璃花子が56秒86の日本新記録をマークして6位入賞を果たした。
日本人には不向きとされてきたこの種目で6位という順位も立派だが、予選からの3レースすべてで日本記録を作り、ベストを0秒71も縮めるという驚異的な成長ぶりは圧巻だ。
決勝レース前の集中タイムには「タッチした瞬間、ギリギリ3番くらいの位置にいるというイメージトレーニング」をしていたという。準決勝で全体の3位になっていたのだから、メダルをイメージしていたのは当然のことだろう。
結果的にメダルには届かなかったが、「悔しさよりも喜びの方が大きい」と素直な感想を口にした。そして、「みんなに56秒台を出してねとも言われていたので、目標を達成できて良かった」と笑顔を見せた。
プラン通りのレース運びだった。前半の入りは準決勝と同様に控えめに泳ぎ、26秒81のタイムで7番手で折り返し、後半は勝負をかけてギアをアップさせた。
すると、一時は3位に迫る勢い。残り約10mからさすがに疲れが出たが、それでも日本人初の56秒台だ。
「最後まで諦めないで泳げたので、6秒台が出たのではないかと思う」と冷静な自己分析もしてみせた池江は、「緊張はしていたが、泳ぎそのものはリラックスできていた」と胸を張った。
銀メダルは、同じ2000年生まれの16歳。
一方で、悔しい思いもした。
2コースを泳いで銀メダルに輝いたペニー・オレクシアク(カナダ)は池江と同じ2000年生まれの16歳だ。
タイムは池江より0秒4速い56秒46で、これは世界ジュニア新記録だった。これから先、常に勝負を争うことになるであろうライバルの出現である。
「レース前は同い年の子には負けたくないと思っていたけれど、並んでみるとやっぱり体格差はあった」
ここ1年で身長も体重もぐんぐん大きくなってきた池江ではあるが、海外勢と体格やパワーだけで伍していこうとするのはやはり難しい。
「自分の身体がこれからさらに大きくなるかどうかは分からないけれど、技術面をしっかり磨いていって、4年後には勝てるようにしたい。その子に勝たないと金メダルは見えてこない。メダルは絶対に取るという自信をつけて、あとは金メダルを取る精神力を備えていきたい」