リオ五輪PRESSBACK NUMBER
スラム、強盗、渋滞、不衛生……。
五輪開幕直前、溢れるリオの不道徳。
posted2016/08/05 16:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JMPA
静かだな。
滞在して2日間、わずかな時間に過ぎないが、ふとそう感じた。
道路は、事前に聞いていたように渋滞の嵐だ。人の姿が少ないわけでもない。それでも静かだと思ったのは、オリンピック開幕直前の街としては、その雰囲気が薄いことにあった。
リオデジャネイロ五輪組織委員会は、8月に入り、チケットの売り上げ枚数は全体の約79%であると公表した。北京やロンドンが95%前後であったことからすれば、伸び悩んでいる。観光客も見込みほど訪れないのではないかと予測されている。
開幕前から高揚感のあった北京や、バンクーバー冬季五輪とは異なる。
北京は言うまでもなく、ロンドンでも開幕までは落ち着いていたが、始まれば街にも活気があふれた。リオも変貌するのだろうか――。
開幕前なのに、あまりにも問題が多すぎる!!
大会を前に、あまりにも問題が頻発したことの影響は否めない。
ロシアのドーピング問題が大会の盛り上がりを妨げることになったのもあるが、リオからも、公職者による空港などでのデモ、選手さえ被害者となった強盗や窃盗事件などが報道されてきた。7月末には日本人を被害者とする強盗、窃盗事件が2つあった。
大会開催そのものへの大規模な抗議デモもあった。リオに限らず、最近の大会では何かしらの問題が起こるが、従来の問題に輪をかけて起きている印象をぬぐえない。
2016年の開催都市選考の際、一次選考を通過した4都市では最も評価が低かったこと、治安への懸念がその時点から指摘されていたことを思い出す。
選手村でのトラブルも多い。
オーストラリアの選手団が設備の問題で一度退去したし、ぼや騒ぎで避難した際は、パソコンをはじめさまざまな品が盗まれた。
8月3日には、デンマーク選手団団長が同国のメディアに対し、数々の窃盗事件が起きていることを明らかにしている。