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衝撃112秒KO、村田諒太の世界戦は?
ミドル級に君臨する「二大巨頭」次第か。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAP/AFLO
posted2016/07/25 11:40
デビュー以来、11連勝(8KO)という記録となった村田。MGMグランド・ガーデン・アリーナの会場について「いつかこの会場を満員にしたい」と語った。
アルバレス、サンダース、ゴロフキンの間で……。
サンダースは9月17日に米テキサス州で防衛戦を予定している。この日のメインイベントに出場するのは、前WBC世界ミドル級王者のサウル・アルバレス(メキシコ)で、アルバレス陣営は9月の試合のあと、サンダースへの挑戦を希望しているとも伝えられており、同じリングにそろい踏みする9月のイベントは、その伏線という見方ができる。
アルバレスは世界のボクシング界でもトップスターの1人だ。もし、サンダースが本当にアルバレスと対戦するとなれば、そこに村田が割って入るのは難しい。
そのアルバレスは、ミドル級で3団体のベルトを保持するゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)とのビッグマッチが期待されている。両者はこれまでに何度か対戦交渉を持ってきたが、話はまとまらず、現時点では来秋の激突が見込まれている。いずれにしてもミドル級世界戦線は、ゴロフキン、アルバレスという二大巨頭の動きいかんという状況で、村田が「待たされる」という事態は大いにあり得るのだ。
村田にはあと1回、トップクラスとの試合を。
こうしたミドル級の世界戦線事情に加え、村田にもう少し経験を積ませたほうがいい、という意見も根強い。
筆者も個人的にそう考える1人だ。
村田はプロ7戦目で世界ランカーのダグラス・ダミアオ・アタイデ(ブラジル)を右一発でKOした。アタイデは悪くない相手ではあったけれど、世界トップクラスの選手とは言い難かった。今回のタドニッパもしかりだ。41戦して34勝24KOと戦績は悪くないが、世界前哨戦の相手としてはもの足りないと言わざるを得ない。少なくとももうワンランク上の相手との“テストマッチ”は必要ではないだろうか。
昨年11月、ラスベガス・デビュー戦で勝利したものの、本人曰く「最悪の試合」でアメリカでその実力をアピールできなかった村田。だが、今年に入り3連続KO勝利をマークし、試合内容も充実してきた。今回ラスベガスで「アピールできた」ことも世界に打って出る上で大きかった。
足りなかったいくつかのピースは少しずつ埋まってきている。万全の体勢が整うまであと少しだ。