球体とリズムBACK NUMBER
ビルモッツ、コンテの両監督に注目!
EUROでのベルギー、イタリアの実態。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2016/06/25 11:30
イタリアに完敗した後、アイルランド、スウェーデンと戦術を進化させながら連勝したビルモッツ監督。
好調イタリアの相手は、スペイン、ドイツ、フランス。
一線級が不在の前線と主軸が負傷離脱した中盤によって酷評されていたイタリアが、前評判の高かったベルギーに勝てたのは、指揮官に言わせれば「結束した集団の魔力」となるが、ダニエレ・デロッシの意見では「世界屈指の監督のおかげ」である。
「僕は多くの優れた監督と仕事をしてきたが、彼は間違いなく世界トップの1人だ。すべてのディテールを突き詰め、誰よりも準備を怠らない。だから僕らの頭のなかには、ピッチ上で何をすべきで、仲間がどこにいるのかが、完全に入っている。それは観ている人にもわかるはずだよ」
4月に今大会終了後にチェルシーの指揮を執ることが発表された時は、代表でのモチベーションの低下が危惧されたが、自らの仕事に誇りを持つワーカホリックな指揮官にその心配はなかった。きっと今は、長靴の形をした国にこれ以上ない置き土産を残すことしか考えていないはずだ。
「何度も言ってきたことだが、このチームは真の男たちで構成されている」とコンテ。「(決勝までの道のりは)困難に満ちているが、仕方あるまい」
スペイン、ドイツ、フランス──。
アズーリの行く手にはすべての優勝候補が立ちはだかるだろう。
戦力の差は否定できないが、前評判があてにならないことはすでに証明している。真の男たちを束ねるリーダーがいかなる知恵と策を見せるのか。「今できることにベストを尽くす」ために、僕もその姿から何かを学びたいと思う。