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ラグビーW杯後、ジャパンの第一歩。
スコットランドに敗戦も光明あり。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byKyodo News
posted2016/06/20 11:50
タックルする小瀧尚弘(左)と稲垣啓太(右)。小瀧は2015-16シーズンのトップリーグ新人賞受賞者。今年からの代表参戦だ。
スコットランド戦への練習は実質4日間だった。
今回の日本代表の集合は、5月の最終週にスーパーラグビー前半戦が終了した後の、6月4日だった。そこからチームはカナダに遠征したが、前年から休みなしでプレーを続けていたことを考慮し、主将に指名された堀江翔太ら数人は遠征メンバーから外れた。スコットランド戦に向けた練習は、実質4日間に過ぎなかった。
つまり、欧州から格上の強豪国を迎えるにふさわしい、十分な準備を積んで迎えた試合ではなかったのだ。
その状態で臨んだ6月18日の試合に、日本は13対26で敗れた。
「ナショナルチームに負けていい試合などひとつもない」とも言われる。
とはいえ、結果がすべてではないこともまた事実だ。まして、4年間の準備を経て臨むワールドカップのような大勝負と、その準備過程の試合では意味合いも異なる。
失ったトライは、2人を欠いた時間に。
「今日はみんな、すごい頑張ったよ」
スコットランドとの戦いを終えてそう言ったのはNO8アマナキ・レレイ・マフィだ。
ワールドカップでは日本のインパクトプレーヤーとして活躍。トップリーグのシーズンを終えるとイングランドのバースに期限付き移籍し、同じくニューカッスルに加わったプロップ畠山健介とともに、日本代表フォワードとして初めて、イングランド・プレミアシップの激闘に身を置いた。この日のスコットランド戦でも猛突進を再三みせ、前半8分のトライの起点を作った。
そのマフィは言った。
「集まって準備できたのが4日くらいしかなかったけど、ここまでできたのはいいと思う。大変だったけど、みんなよくやったよ。13人になったときは本当に大変だったけど、みんな頑張った」
試合は前半30分過ぎから2枚のイエローカードが出され、日本は13人で相手の15人と戦う試練を強いられた。日本はその時間帯に2つのトライを奪われた。しかし、80分を戦い終えてみれば、失ったトライはその時間に奪われたものだけだった。